■□■はじめに・・・■□■
ネオは『股関節形成不全』です。
それでも、いつも元気にニコニコ笑っています。
まるで私達に「心配しないで!」っと言っているかのように・・・。
□■□股関節形成不全□■□
正常に股関節(骨盤と四肢の連結部分で、体重を支える重要な関節)が発達すれば、
大腿骨を受けとめる骨盤にきっちりとはまるはずなのです。

それが『股関節形成不全』の場合、
股関節が十分に発達せず骨盤のくぼみが浅くなったり、丸いはずの大腿骨の先端が扁平に変形し、
(寛骨臼)と骨(大腿骨頭)がうまくかみ合わず、
大腿骨の先がたえず抜けそうになる、慢性的な亜脱臼状態
(完全には脱臼してないが、ちょっと関節の位置が元の位置からはずれている状態)になり、
完全に脱臼してしまったり、ひどい変形性の関節症をおこすこともあるそうです。

片方に症状が出るのは稀で、ほとんどの場合が両方の股関節に症状が現れ、
年齢と共に進行し、最悪の場合は歩行困難となってしまう『進行性の整形外科疾患』と言われています。
□■□原因□■□
この病気は70%が遺伝性のものだと言われています。
両親が共に股関節形成不全の場合は93%の子犬に、
両親共に健康な股関節をもっていても19〜36%の子犬にこの疾患が見られます。

残りの30%は子犬時代の急激な運動や肥満・生活環境にも影響されるそうですが、
はっきりとした原因は特定されていません。

純血種がゆえに背負う、悲しい宿命なのです。
□■□症状□■□
・腰を左右に振りながら歩く。(モンローウォーク)
・歩いたり、走ったり、階段の登り降りを嫌う。
・長く歩くことを嫌がり、よく立ち止まる。
・走り出す瞬間に両後肢を同時に動かす。(うさぎ飛び)
・座った姿勢を好む。
・座るときにあぐらをかいたり、横座りを好む。
・歩幅が小さく、関節の動きの範囲が少ない。
・踏み出しの前肢が、真っ直ぐに出ないで円を描く。
・痛みのため、立ち上がる動作が遅い。
・後肢をかばうため、体重が前肢へ移動し大腿部筋肉が少ない。
・股関節部を動かしたり、触られることを嫌う。
□■□異変□■□
異変に気が付いたのは生後5ヶ月頃、お散歩中のことでした。
先を急ぐネオを後ろから見ると、腰を大きく左右に振って歩いていました。
「モンローウォーク」と呼ばれる歩き方です。
後ろ足はあまり上がらず、時には爪が地面に引っかかることもあります。
腰の辺りを触ると「くきっくきっ!」と言う音(クリック音)もしました。
そして、走り出す時は両足を一緒に動かし、ウサギのようにピョンピョンと飛び跳ねるように走ります。
腰から後ろ足にかけては随分と貧弱(細く弱い)で、ちょっと押すとフラフラ〜とよろけてしまいます。

それでもまったく痛がる素振りを見せないのです。
ジャンプもするしジャンプ力もあり、走ることが大好きで、階段も平気で上ったり降りたりします。
しかし、股関節が伸びないのか、ネオは側体歩で歩きます。

明らかに症状は出ているのですが、
どの程度のものなのかはレントゲンを撮ってみないと分かりません。
少しでも良いことを願って検査をお願いしました。
□■□診断結果□■□
2006年7月29日・・・レントゲン検査の結果、
ネオは『股関節形成不全』と診断されました。

両方の大腿骨頭は変形し、右側には余分な物(骨)が出来ています。
これで痛みがないのが不思議なくらいだと・・・。

院長先生がレントゲン写真を見ながら、
「うぅ〜ん、思ったよりひどいなぁ〜。
OFAに送って判定してもらいますか?
でもな、OFAの判定は僕等が思っているより厳しいんだよ・・・。
これくらいならいいかなぁ〜と思っていても、
ダメだとの判定はよくあるんでな。」
と・・・。

覚悟はしていましたが、思っていた以上に悪いようです。

ネオの場合は、まず間違いなく「遺伝だろう」と・・・。
体が小さいのも、左前肢に黒い毛が生えているのも・・・。
色々な角度から見ると、
なんらかの遺伝によってのことだと考えるのが妥当だという事でした。

※ クリックで拡大表示します。
そして「ペットショップにいるゴールデンの99%は、まともな股関節を持っていない」と思ったほうがよいでしょうと・・・。
□■□治療□■□
幸いネオは体が小さく体重が軽い(2006年8月現在、20kg〜21kg)なので負担が少ないようです。
そして川や海で適度に泳いだことによって、
関節の周りの筋肉が鍛えられ、その筋肉で関節が支えられているので、
思ったより痛みが出ていないようです。

そのため外科的手術は今のところ必要ありません。
痛みを緩和するのに効果があるという「コンドロイチン」のサプリメントを飲ませることにしました。
これは関節液を増やし、関節をなめらかにする作用があると言われていますが、
治す薬ではありません。
痛みを軽減・改善させることを目的としたものなのです。
□■□今後□■□
この病気は進行性のため、年を重ねるごとに痛み(関節炎)が出てくる可能性があります。
そのためにも体重管理(肥満)には特に気を付けなければなりません。
体重が増えれば、それだけ体(関節)には負担がかかることになります。

現在ネオは、これ以上痩せられないギリギリの体重を維持していますが、
去勢手術をした後なので、太らないように食事と運動には気を配っていかなければいけません。

なるべく走ることは控えさせます。
足腰に負担のかからない水中での遊びを中心に、筋肉を落とさず増やしていきたいですが、
体を冷やし過ぎては逆効果になってしまうので、気をつけなければなりません。
□■□さいごに・・・□■□
この先ずっとこの病気と付き合っていかなくてはなりません。
共にストレスにならない様、頑張っていきます。

つらい顔も、悲しい顔もさせたくありません。
そんな顔、ネオには似合わないから・・・。
ネオにはネオに合ったペースでゆっくりと・・・そして、長くいつまでも笑いながら歩いていきたいです。
★2006年8月10日